2012年1月18日水曜日

インターネットにみる軍事技術の民生移管

農業革命、産業革命に続く第三の波としての情報革命は、極めて短い時間に世の中を劇的に変えました。私は、インターネットと併せて、携帯電話の技術も含めて、情報革命と捉えていますが、この10年、20年と言うのは、目まぐるしい変化を遂げた期間であり、今までのどの時代の10年間・20年間をとってもこれほどまでに変化があった時代と言うのはないだろうと。

さらに、技術の蓄積が行われると同時に、加速度的に世の中が高度化したことは「学問」をはじめとするアカデミックな分野での体系的な研究と資料化・DB化、さらには制度の面からは「特許」がそれを支えた側面が極めて大きいと思っています。

仕事をしていて思うことは、調べ物はインターネットでほぼ完結してしまうと言うことです。今は、多くの個人・組織が情報を世界に向けて発信していて、ケーススタディ(事例研究)を独自にすることをしなくてもよく、事例がネットを通して収集・分析することができ、膨大な時間をそれに割かなくても済むということです。今までは、ノウハウと言うのは、企業の目に見えない資産として大きな意味を持ち、属人的な側面が極めて多かったのですが、その意味が極めて小さくなったことが、インターネットの功績だと思っています。ただ、薬と同じで副作用は当然あり、工場のFA機器(ファクトリーオートメーション)による省力化と共に、今まで人が何人も関わってやっていた仕事がなくなってしまったと。いわゆる合成の誤謬に近い感じですが、個別の行動でみると非常に合理的ですが、国家や世界と言う単位で見ると人が要らなくなってしまうと・・・・。

私がいつも思うことは、軍事技術でもあり、虎の子の技術のインターネットをなぜアメリカが公開したかと言うことです。もともと、インターネットの発想は、情報拠点が爆撃などでやられてしまっても、他のバックアップの拠点を生かすことによるという集中から分散の技術にあったわけですが、それを他国に公開するデメリットのほうが多かったんじゃなかろうかと思ったのですが、公開したのは、デメリットをメリットが上回ったと思っていいのかと思います。

と言うのも、理由は大きく二つあり「既存の技術が成熟し、糞詰まりになっていた」、「放置しておけば、他の誰かが公開したので、先行者利得を得るために自分たちが公開した」と言うことがあると思います。前者は、資本主義の病理である「拡大再生産」が既存の産業では行き詰っていたため、新規市場を切り拓く必要性があったのだと思います。また、情報分野は金融と極めて親和性が高く、ハードの高度化と共に、インターネットというインフラの整備がその効果を大きくしたと思っています。

インフラを握ると言うことは極めて大きなことで、GPSの技術も過去は、意図的に精度を落とすことによって、敵を錯乱させたとも言われており、インターネットも上流をアメリカが握っていることによって、有事の際には、自分が有利にできるというだけでなく、平時にも情報を常に獲得できると言う面では、極めてメリットが多かったのだと思います。

一見、自分の首を絞めているように見えるインターネット技術ですが、やはり、放っておいても、間違いなく誰かがやったので、それじゃ、先を越されないうちに、自分たちがやっちゃおうと思うのも不思議ではありません。核の技術なんかもそうですよね。完全にあれは、先行者利得かと。

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