2012年5月15日火曜日

石油のピークアウトと今後のエネルギー政策【安い石油の時代の終わり】

ヘッジファンドなどの投機筋による商品価格の上昇と良く説明される原油市場の高騰ですが、需要と供給を考えた時、更には株式市場や債券市場と違い桁違いに小さい商品市場に投機資金が流れ込んだ時の振幅の大きさを考えると、ある意味、投機筋による価格上昇というのは説明ができるところです。しかし、日本のバブル経済の崩壊過程を分析すると、最も大きな原因は、人口ボーナスが終わり、人口オーナスに入ったからです。90年代以降の景気低迷期には、三つの過剰と呼ばれる「雇用、債務、設備」が大きな理由として挙げられた訳ですが、それは人口動態が与えた現象に過ぎず、人口ボーナスがもっと長く続いていたらそれも違ったものになったわけです。基本としては、日本の高度経済成長は安い労働力の活用、安い中東産の石油の活用がその根底にあった訳で、その前提が崩れてしまった今は、かつての黄金時代を取り戻すことは原則としてできません。例外として、エネルギー革命などが起これば、話しは別ですが、今のところそのような目処はたっておらず、化石燃料の代替として、藻から原油を作ると言うことが、最右翼として見られていますが、技術的な問題もあり、最低でも10年はかかると考えています。

日本は、1億3千万人の人口を擁し、首都圏の人口を見てみると3000万人です。凡そ4人に1人が首都圏若しくはその近縁に住んでいることが分かります。重化学工業などは臨海部に立地し、その労働力の供給源は賃金格差の大きい、東北や九州が大きな役割を担いました。それが、90年代以降は、日本国内では限界が見えてきたことから、東南アジアや中国などがその役割を担うようになりましたが、国境のあるなしと言った要素が変わったくらいで、基本的には、東北や九州から集団就職で労働力を確保すると言ったこと、更には工場をそれらの地域に作ることと本質的には同じ訳です。但し、国境を越えて他の国へ出てしまうと、日本という国の税収などにも大きく影響してしまい、日本人の雇用問題にも発展してしまうため、海外に出て行くのは、理屈は同じでも、国力としては大きな問題があります。

世界5大商品として、石炭、石油、食糧、鉄鋼、繊維があり、石油は石炭の代替にもなり、食糧のの生産に使われる化学肥料、そして合成化学にも活用されるだけでなく、近未来には鉄鋼の代替として複合炭素繊維・エンジニアプラスチックにもなります。また、繊維の面では多くを占めた綿花の代替として、合成繊維として使われるようになり、石油が他の多くのものを代替しました。

考えてみれば、昔の燃料の主役は薪であり、熱量を確保するためには、非常に過酷な労働を必要としました。それが、今は、石油や石炭・石油によって発電された電気などによって、そのプロセスが極めて効率的になり、更には家庭電化製品の飛躍的な普及もあり、炊事、洗濯、掃除などの多くの重労働が極めて簡単なものになりました。更には、それらの家電品の普及だけでなく、重労働からの開放によって、その時間を他の事に割くことが出来るようになり、極めて広範な分野でのサービス業が勃興し、「時間を金で買う」ことが出来るようになりました。スーパーやコンビニでの弁当や惣菜などはこれにあたりますし、クリーニング屋もこの範疇に入るかと思います。

それらのことを分析をすると、石炭・石油などの廉価なエネルギーによって我々の生活が嵩上げされていたわけであり、その燃料のコストがあがれば、今までのようなアメリカ型の大量生産・大量消費型経済は維持できないことになります。現状の太陽光発電や風力発電は、ベース電源としてとても使える代物ではなく、今の技術では300%失敗します。従って、よほど有望なエネルギーが見つからなければ、私たちの生活は、バイオマスエネルギーを使ったものに戻らなければならなくなります。石油によって与えられた文明によって、飛躍的に便利になりましたが、それがアキレス腱になり、石油が枯渇すれば、原始的な生活に戻らざるを得なくなる可能性が指摘されるのも皮肉なものです。

世界人口は、昨年70億人を突破しましたが、今のまま行けば、2050年には100億人を突破することが見込まれていますが、これは農業革命や産業革命、そしてそれに付随するエネルギー革命があったから成し遂げられたものであり、その前提条件が剥落すれば、人口増加は維持できなくなり、凄まじい勢いで人口が減少する可能性が極めて高くなります。理由は何度も繰り返しになりますが、石油や石炭により下駄を履かせられていただけで、それが無くなれば、梯子を外されたような状態になることが容易に予想できるからです。過去、偉大な文明を築いてきたものがことごとく崩壊してきましたが、ひょっとすると近代文明も自分達がやってきたことにより、自分の首を絞めるということによって崩壊をするかもしれませんね。


1.日本経済の高度経済成長の要因
1)安い労働力の活用
2)中東産の安い原油の活用
2.工場の海外移転の要因
1)より安い労働力の確保
2)経済特区などの活用による税金等の免除
3.石油による嵩上げとピークアウトによる余剰分の露呈
1)安い石油が生産性を向上させた
肉体労働に頼っていたものが、内燃機関等を活用することにより、
省力化が進み、FA化(ファクトリーオートメーション)により、
より一掃の工場の省力化が進んだ。
2)有望な代替燃料も無く、天然ガス、石炭もピークアウトへ



●エネルギー問題に関する英文情報の翻訳
http://www.nexyzbb.ne.jp/~omnika/index.html

●安い石油時代の終焉 ピークオイルを考える
http://home.hiroshima-u.ac.jp/mfukuok/SEKP/SEKP061020.files/frame.htm

●70億人の世界へ、人口のオーバーシュート
http://www.nexyzbb.ne.jp/~omnika/70okunin.html

2050年までの世界のエネルギーの推移と構成のグラフ

ピークオイルの画像 IEAが在来型石油はピークを過ぎたと発表

紀元前2000年~現在までの人口増加のグラフ

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