2012年5月27日日曜日

大手家電の赤字を考える【便乗欠損処理も?】

強い日本といえば、家電と自動車の双璧が輸出によって外貨を獲得し、日本経済の立役者になった訳ですが、以前にも何度も書いていますが、それは、人口ボーナスによる若年者の安い労働力の活用と中東産の安い原油の活用に主な原因があるわけですが、傑出した技術力に原因があったのも事実です。

それにしても、電機大手の決算の数字が出揃った訳ですが、今まで考えられないほどの巨額の赤字は、日本の経済の凋落をそのまま表しているような気すらします。ただ、早かれ遅かれ、この時期が訪れたのも事実です。個人的には、東日本大震災もタイの洪水が市場からの退場の時期を若干早くしただけで、世界的な流れ、更には日本の家電業界の比較劣位の状況は変わらないと思います。

パナソニックがおよそ8000億円にも及ぶ最終赤字を計上した訳ですが、内訳でよく説明されるのが、三洋電機の買収の暖簾代を一括計上したということですが、他にも、これだけ巨額の赤字を計上するのであれば、構造改革費用として、一緒に他のゴミも燃やしちゃおうと便乗して処理をされていることもあるんじゃないかなーと思います。

他の大手の電気会社も似たり寄ったりで、「重電と弱電で決算の明暗を分ける」なーんて表題がついちゃっているニュースが多いくらいですから、この際、横並びで赤字を出しちゃって、今までの膿
をだしきっちゃおう、「目立たないから、一緒に燃やしちゃおう」という考えに至る不届き者がでてもおかしくないと思います。損益は、公認会計士が最終的に承認しただけであり、利益操作なんていくらでもできますからね。ただ、赤が多いと国税に目をつけられるので、そこんところは、しっかりとやっていると思いますけど。それにしても、「味噌も糞も一緒にするな」と言う言葉がありますが、オリンパス事件の買収して、損失処理をして、誤魔化すスキームを他の会社が間違いなくやっていると思うんですよね。特に、家電は、テレビ事業とかなんか、火の車でしょうから、すごいことになっており、付属品として、捨てたくて捨てたくて仕方ないものがたくさんあるんじゃなかろうかと。で、「一緒に燃やしちゃいました」ってやってると思いますよw

あとは、問題は、ルネサスエレクトロニクスなどの本体から切り離され、他社とくっついた部門の子会社たちですね。昔は、アメリカのような半導体大国が日本を目の敵にして、貿易摩擦の大きな原因となった分野ですが、今は見る影もありません。「電子立国日本の自叙伝」は本当に古きよき時代を書いています。「産業のコメ」というのは今も変わりませんが、主役の交代は本当に早いですね。

エンジニアの人たちや働いている人たちに責任を転嫁するのは酷ですが、正直、会社の政策として、お荷物部門としてライバル関係にある会社と統合して、縮小均衡になった半導体企業ですが、儲かる分野であれば、本体若しくは、丸抱えもできたのでしょうが、要らなくなったので、他社と統合されたのであり、この分野は、追い上げる台湾、韓国、中国勢の追撃がすさまじいので、一刻の猶予もありませんね。言い方は悪いですけど、エルピーダメモリもルネサスエレクトロニクス(日立、三菱、NEC)本体から要らないということで、寄せ集めで作られた政策的な会社ですからね。

■電機大手8社の2012年3月期連結決算

売上高           最終損益

日立製作所  9兆6658(▲3.8)   3471(45.3)

パナソニック 7兆8462(▲9.7)  ▲7721( - )

ソニー    6兆4932(▲9.6)  ▲4566( - )

東芝     6兆1002(▲4.7)    737(▲46.5)

富士通    4兆4675(▲1.3)    427(▲22.5)

三菱電機   3兆6394(▲0.2)   1120(▲10.0)

NEC    3兆0368(▲2.5)  ▲1102( - )

シャープ   2兆4558(▲18.7) ▲3760( - )

(注)単位:億円。カッコ内は前年同期比増減率%。

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