2014年6月13日金曜日

金太郎飴方式と規格大量生産を再考する【古くはT型フォード、今はトヨタ、外食、パチンコ、スーパー、既成服】

「同じ材料、同じ製造設備、同じ条件で同じ商品を作る」これって、規格大量生産の基本中の基本だと思うんですよ。品質管理なども含めて、条件が同じであれば、同じものができるだろうって。これって、没個性とか思われるかもしれませんが、開発の過程で、創意工夫で作業手順を変えたら、できるものの品質が変わるって事も十分ありえますから、そこは承認行為が必要だとか色々あるわけですね。料理でも、仕込みの順番、調理の順番、調味料をどのタイミングでかけるかで味は全く違うものになりますからね。つまり、金太郎飴方式って私は名付けているんですけど、どこを切っても同じ顔が出る、つまり、均質な製品・サービスが提供されているってことなんです。これは、ぐぐってみると半導体業界でよく使われる言葉で、台湾や中国、日本の工場をみると、製造設備が日本製で、設備さえ整えれば生産ができちゃうということを言い表すみたいです。思うに、ハイテク業界は大体、これが当てはまるんだろうなと思います。言い方は悪いですけど、部品の寄せ集めですから。これが車となると4万点とかの部品の寄せ集めと言っても、その組みつけの精度が影響して、その誤差がボディや電装部品に影響して、数万キロ走ると駄目になってしまうことは、良く知られています。日本車でも10年選手が街中でどれだけ走っているかと言うことをみるとトヨタに偏っていますからね。0.1ミクロンの誤差が4万点であったら、どうなるでしょうか?走る振動、暑さ、寒さや湿気などその環境は苛酷でしょうから、色んなところに影響がでちゃいます。ですので、半導体とは全く違ったノウハウがそこにはあるんですよね。特に素材系は、ノウハウの塊で、リバースエンジニアリングで分析ができないことがかなり多いんですよ。熱処理なんかその代表例ですね。浸炭処理とか焼き入れとか、焼き戻しなんて、素材の性質を大きく左右しちゃいますから。それと同じように化学系もプロセスがむちゃくちゃ大事にされます。その順番しだいで、組成が全くかわりますしね。順番、混ぜ方、その時の温度とか色んな要素がありますから、これを一からやろうとすると何十年という時間がかかります。それが学問として体系化されているので、今の人たちは割りと短い時間で、ある程度のことができますが、それにしても膨大な時間がかかることは言うまでもありません。日本の製造業の強さって、この素材によるところってあると思うんですよ。ここのところを政府や新日鉄のような大企業がもっとしっかりとやってくれたら、韓国や中国なんか日本を頼らざるをえないところがたくさんあった訳なんですけどね。

 

で、話は戻って、この金太郎飴方式を応用したのが、日本の製造業って訳だと思うんですよ。まぁ、規格大量生産は、T型フォードとか、拳銃のコルトとかが起源って言われているんですけど、品質管理をびしっとやって、素材から部品、あとは組み立てた製品の全ての面で完成度の高さを具現化したのってやっぱり、日本の電機メーカーであり、自動車メーカーだと思うんですよね。そのなかでも、トヨタ自動車って、全ての作業手順をマニュアル化し、そして数値化して客観的に判断できるようにしたところで、近代製造業の原点だと思っているんですよ。日本は、特にその意味で均質的な教育が提供されていたことから、製造業向きであったと言えます。もともと農耕民族である日本人にとって、製造業とかそれの思想を応用した金太郎飴方式って生まれたのは必然かもと思っちゃいます。学問とかも突き詰めていくと体系化って言うところに行き着いて、法則って言うものが見つかりますからね。

翻って、これを外食とかスーパー、ユニクロやしまむらのような既製服やニトリのような家具、さらに言ってしまうと、マルハンやダイナムのようなスロット・パチンコホールに当てはめてみると、まさに同じことをやっているんですよ。ベルとコンベア方式じゃないですけど、全国一律、基本マニュアルに基づいてモノができたり、サービスが提供されていると。前にも何度も言っていますが、スケールメリットが大きければ大きいほど、単価は下がり、一店当たりの運営コストも下がります。また、アップルのIphoneのように商品を原則として一機種に絞り込んだらどうでしょうか?昔の吉野家を彷彿とさせますが、一点集中で相当コストを絞り込めます。ただし、問題が起こったときはその影響力は半端ないですけどね。実際、吉野家もBSEや狂牛病の問題でむちゃくちゃ影響を受けていますし、トヨタも車台を共通化したり、部品を様々な車種で共有・共通化していることから、リコールなどの台数も半端ないですからね。

外食など、世界で色々分析をするとスターバックス、そしてマクドナルド、サブウェイ、バーガーキングと言ったところが、世界的に展開をしているところでしょう。基本はハンバーガーやコーヒーなどのお店で、その他の分野には進出できていないと。このあたりは、日本に一日の長があると思います。それを支えているのが、物流であり、コールドチェーンであり、セントラルキッチンの3つのポイントです。私が知る限り、外食でまともにチェーン展開ができているというのは、ファーストフードの世界以外でで殆どないと思っています。シンガポールは、フードコートやホーカセンターで、チェーン展開みたいなものはありますが、日本のような大規模展開ではなく、結構限定的なものですからね。吉野家、すきや、松屋のような牛丼を中心とした店、それからファミリーレストランのデニーズ、ロイヤルホスト、ガスト、ジョナサン、それから回転寿司のかっぱ寿司、スシロー、焼肉の安楽亭、牛角などが思いつくところですが、これらっておそらく、先ほどの3つのポイントがなければ成り立たないところがあると思うんですよ。

既製服の分野に目を移すとH&MやZARAのようなところでしょうか、あとはNIKEとか、NEW BALANCEのような靴のメーカーとか、この分野に目を向けるとブランドと言ったらよいのでしょうか、世界的なプレーヤーが多いのも事実です。日本のメーカーでは、ユニクロが活躍しているぐらいで、日本発の有名なブランドっていうのは、考えてみると殆どないですね。この辺は、欧米のブランド戦略って極めて大きいと思っています。品質的には、日本の会社の衣料品の方がすぐれているんですけどね。もっとも、中国製やバングラデシュ製ですが、日本式の品質管理でこのあたりはつくられていますが・・・。

サービス業についてもそうですね。シダックスのようなカラオケ、そしてマルハン、ダイナムのようなパチンコチェーンについても、昔は完全に個人商店というか、地元の資本がやっていたところが、全国資本に置き換わっていると。漫画喫茶、インターネットカフェなんかも自由空間とかみると、全国展開しているので、同じような金太郎飴方式なんだなと思っています。

大規模小売店、スーパーにもこれがそのまま当てはまり、大店法改正のお陰で、全国は、イオンとイトーヨーカドー、ジャスコの3つしか目に付かないぐらいになってしまいました。小規模なところはあると言っても、流通はこの3社の寡占と言ってもいいんじゃなかろうかと。

提供される値段も安く、仕入原価も安くと言うことから、上記のような金太郎飴方式が全国的に広まって、地元資本を駆逐してきた訳ですが、今後、考察したいのは二つあります。

【今後の展開】
 1)金太郎飴方式のチェーン店が日本でどのようになるのか?
 2)東南アジア地区、東アジア地区の今後伸びる地域では、雁行型モデルが採用されるか?

マレーシアのルックイースト政策とか、中国や韓国、そしてタイ、最近ではインドネシアも、アジアの雄である日本のビジネスモデルを採用して伸びているケースが多いですし、日本に相当大きな影響を受けていると思われるため、日本式のチェーン店方式は、タイムマシーン商法として、10年、20年遅れで採用されると考えています。

私は金太郎飴方式と名付けましたが、これを英語とかに直訳するとなんていうんだろうな?簡単にフランチャイズとかチェーン店方式になるんでしょうが、トヨタの「カイゼンやカンバン方式」みたいに、「キンタロウアメ方式」なーんて、私が名付けの親となるのか?と思うことがあります。たいていのビジネスなんて、新規性もなく、世界で既に誰かがやっていることが多いため、どうやってスタイルを定着させるか、広めるかっていうところが大きいと思うんですよ。

ネットの世界ってちょっと極端ですけど、ちなみにSNSのケースで言うとフェイスブックより前にMIXIって日本では相当のシェアを持っていて、フェイスブックよりも幅の広いサービスを提供していたと思うんですよね。今、閑古鳥が鳴いているのは、やっぱり、完全にフェイスブックの知名度や世界展開に負けてしまったなど、色々な要素があると思うんですよ。

あとはネットショッピングでも、アマゾンが圧倒的に強く、今後、この流れって言うのは加速して行き、今まで本や家電で蓄積したノウハウを元に他の分野に打って出ると思いますよ。なんと言っても「この本を買っている人は、このような本も買っています」なーんて提案をしてくるぐらいデータを持っていますからw 楽天なんか完全な国内の市場だけで、アマゾンの後塵を拝している状態ですし、日本でもアマゾンの便利さを周りでも実感している人は本当に多いです。このようなことから、ネットの分野では、アマゾンのようなアメリカ企業が日本企業よりも圧倒的な強さを発揮すると思うんですが、日本企業がそれに負けていたかって言うと、そうでもないと思うんですよね。個人的にそこは分析がしきれていませんが・・・・・。

最後になりましたが、検索の世界とその周辺、それからグループウェアへの進出っていう面をみるとグーグルがこれから一強になると思います。個人的にはヤフーのサービスを局所的に使っていますが、殆どはグーグルにスイッチしていますし、周りで聞いてもグーグル依存度が「教えてグーグル先生」「ぐぐって」と言う言葉があるぐらい、一般的になっています。この辺はスケールメリットが効き過ぎるところがあるので、他のどんな産業よりも伸びは大きいと思いますし、差がついたら他は追いつくことができないと思っています。


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ただ、今後のネットのビジネスモデルの先駆者として、アマゾンの「金太郎飴方式」のビジネスモデルは極めて、汎用性が高く、本当に色々な分野を駆逐すると思っています。その意味では、アップルなんか比べ物にならないくらいの薄気味悪い怖 ...

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