2011年12月1日木曜日

5%の男、その名もハンマー【銅市場を牛耳った商社マン:住商巨額損失事件】

住友商事の非鉄金属部長であった浜中泰男氏は、世界の銅市場の5%を動かす男として有名でした。住友グループは、ベッシと呼ばれる新居浜の住友金属鉱山の銅山がグループの一つの起源ですが、住商と言えば、銅で有名でした。LME指定倉庫には、住友の銅がたくさん眠っているとも言われており、その品質の高さは、世界中でスミトモといえば、銅と言われるほどでした。

その非鉄金属部長である浜中氏がハンマーとかミスター5%とか言われ、銅市場を牛耳っている事も驚きでしたが、取引に失敗し、2850億円も損失を出した事がもっともっと驚きでした。普通であれば、それだけ損失を出せば、普通の会社は確実に潰れます。それが、即座に損失処理をし財務内容も健全性をすぐに取り戻したところは、さすがに「浮利」を追わない住友財閥の一企業だと思いました。

一時期は、この事件に起因して商社の利益の源泉となっていたトレーディング業務を止める動きもあったようですが、コモディティビジネス部と名前を変え、今は為替や原油、株などの相場ものに向き合っているようです。

当時は、大和銀行(現在のりそな銀行)が米国債の不正取引で米国から追放された大和銀行ニューヨーク支店巨額損失事件があったり、デリバティブでヤクルトなどの名門企業が巨額損失を出していますが、桁がもうひとつ小さい損失になると直近でもたくさんの企業、学校法人、宗教法人が損失を出しており、金融商品の怖さを実感する瞬間でもあります。

この住商事件は、LMEで、スクーズという手法で相場のつり上げをはかり、その後、LMEが規制をして、にっちもさっちもいかない時に、住友商事側が手仕舞いをしたことによって損失が発生したものですが、問題は浜中泰男氏が書類を偽造して、無権限の取引を続け、損失を隠していたことに端を発しています。

5%って言うと、5%ルールとか、ちょっと前の消費税とかが出てくる数字なんですけど、大株主の開示で、これに触れちゃって、新興市場とかで名前が突然でちゃう個人株主なんて前にちょくちょくいましたよね。BNFのような著名投資家はちょっと話は別ですけど。それよりも、商品取引の世界で5%って言ったら、すごいボリュームです。非鉄と言っても鉄のようなベースメタルのような扱いですからその量といったら半端ないですから。日本では、銅と言えば、かつては、住友と古河でしたが、今は、国内で採算ベースに乗るところはないため、パプア(米国のフリーポート社で有名)やチリなどが産地としては有名じゃないでしょうか。



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