アメリカのビジネススクールのケーススタディに出てきそうですが、私はシャープのザウルスがIphoneに成り得たと思うんですよね。シャープペンシルを作ったシャープ、そして液晶テレビで一時代を築いたシャープが呆気なく消えてなくなりました。
個人的には、弱電は総負けで 、今後も世界市場を席巻することは二度とないと思っています。私は、日本の家電を選んで買いますが、様々な面で周回遅れとなった日本の家電メーカーが世界と伍することは極めて厳しいと思っています。それは、自動車に関してでもです。トヨタは、まだまだ強いですが、中国の追い上げは半端無いと思っていますし、想像以上に速いスピードで追い上げているからです。それが家電の分野で先行して進んだだけで、自動車でもいずれは同じ事が起こると思います。
さて、話をシャープのザウルスに戻すと時代が早すぎたのとマーケティング手法が違ったことでしょうか。そして、もっとも大きいのは、パソコンが電話となり、それがビジネスではなく、一般人が普段の生活の中で使える道具となったことなんじゃないでしょうか。
Imodeが出た時に、ドコモが世界で技術面でトップに躍り出ましたが、そのトップも一瞬で陥落しました。そして、国内市場でも、ドコモ一強があっという間に陥落しました。ドコモは、アップルのエコシステムで、決済で30%も取られたくないという思いから、iPhoneを当初は採用しなかったこと、更には販売台数のコミットが高すぎて、踏み切れなかったところもあったと思います。
色々な問題があり、ドコモの首位陥落もあっという間で、AUやソフトバンクが同じくらいのシェアになる三つ巴状態になりました。そして極めつけは、MVNOの普及でしょうか。そんなことで、ドコモが凋落するのはあっという間でした。そして、代々木のビルを売却して、リースバックすると・・・・・。考えてみると、アメリカへ投資しして一兆円損失を出したり、インドでも同様に損失を出しても平気なぐらい儲かっていたのが信じられないぐらいですよ。
シャープがジョブスと組んでいたら・・・・とか、ビルゲイツに売り込んでいたら、時代は変わっていたかもと思いましたよ。あと、OS市場もですね。
あんなこんなで、アメリカ企業がITだけでなく、アマゾンに代表される小売にほぼ独占・寡占に近い状態まで追い込まれて、見るも無惨な状態です。今後は、製造業のなかでもノウハウがモノをいう素材系、そして豊富なオペレーションが活かせる分野の製造業ぐらいしか、生き残れないような気すらします。
Palmもほぼ、消えてなくなりましたが、私はザウルスを振り返ると発想は本当にシャープだと思ったんですよね。あれが、携帯機能を内蔵できていたら、時代は変わっていたのかなと思うこともあります。
① 時代を先取りしすぎたが「目的」が違った
ザウルス
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PDA(電子手帳)の延長線
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対象:ビジネス・技術者
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「できることを増やす」「高機能化」が価値
iPhone
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電話+音楽+ネットを誰でも使える体験に統合
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対象:一般消費者
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「考えなくても使える」ことが価値
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ザウルスは「賢い道具」、iPhoneは「生活の一部」。
② UI/UX思想の差(これが最大要因)
ザウルス
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ペン入力前提
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メニュー階層が深い
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操作は「説明書が必要」
iPhone
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指操作(マルチタッチ)
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直感的UI(ピンチ・スワイプ)
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説明書不要
📌 日本メーカーは「機能=価値」から抜け出せなかった
📌 Appleは「使い心地=価値」を徹底
③ OS・開発者戦略の差
ザウルス
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独自OS(Linux系)
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アプリは少数・閉鎖的
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開発者が集まらない
iPhone
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iOSを世界共通で提供
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App Storeで開発者に利益機会
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爆発的にアプリが増殖
👉
端末 vs プラットフォーム
勝負の土俵が違った。
④ 経営判断と「成功体験の呪縛」
シャープ
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家電メーカー思考
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ハードを作って売る
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既存事業(液晶・白物)が主軸
Apple
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「体験」を売る会社
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ハード・OS・サービスを一体設計
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電話業界の常識を壊す覚悟
📉 シャープは「失敗しない判断」を選び続けた
📈 Appleは「賭けに出た」
⑤ 通信・キャリアとの関係
日本
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キャリア主導(iモード、仕様縛り)
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端末メーカーは下請け的立場
Apple
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キャリアと対等交渉
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UI・仕様はApple主導
👉 日本メーカーは「自由に作れなかった」
⑥ 「誰のための商品か」が最後まで定まらなかった
ザウルスは…
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技術者向け?
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ビジネスマン向け?
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一般向け?
常にブレていた。
iPhoneは…
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最初から「全人類」向け
総括(一文で)
ザウルスは「できること」を追い、iPhoneは「したいこと」を叶えた。
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