2026年9月23日水曜日

キオクシアの成功と東芝のタイミングの悪さ【1年半で株価50倍の驚異】

 東芝メモリの売却は2018年6月で、売却額は約2兆円でした。東芝は財務危機から抜けるために、この「虎の子」を売らざるを得ない状況でした。

ところが、その後キオクシアは長い苦しい時期を経験します。2023~24年にはメモリ市況悪化で赤字となり、2024年12月の上場時の時価総額は約8,000~9,000億円程度でした。

そして、そこからAIブームが来ます。2025年以降、AIデータセンターの急増によってSSD・NAND需要が大きく伸び、キオクシアの企業価値が急激に上昇しました。2026年6月には一時時価総額45兆円超となり、上場から約1年半で50倍以上になったと報じられています。

だから「東芝は本当に運が悪かった」と感じるところがあります。

東芝が売った2018年は、「半導体メモリ事業を売って会社を救わなければならない」というタイミング。一方、2025~26年になってAIが爆発的に普及して初めて、NAND/SSDという東芝が長年育ててきた技術の価値が猛烈に再評価された。

つまり、売却からわずか7~8年後に、事業を手放した側から見れば「こんな世界が来るのか」という市場環境になったわけです。

しかも面白いのは、キオクシアが単純に「買って放置されて成功した」わけではないことです。ベイン傘下で意思決定を速くし、財務・事業運営を改善し、SSD事業などへの展開を進めたことが、現在の復活につながったと報じられています。

そして東芝も完全に取り残されたわけではなく、現在もキオクシア株を保有しているため、キオクシア株の上昇による恩恵を受けています。2026年には東芝のキオクシア株売却・評価益が利益を大きく押し上げたと報じられています。あと数年タイミングが違っていたら、全く結果は違ったものになったでしょう。本当にタイミングが悪かった、そして経営者の経営判断が悪かった事例でしょう。日立と東芝はライバルとされていましたが、日立の背中は全く見えなくなってしまうほど、先に行ってしまいました。

西室泰三が居なければ、西田が居なければ・・・・・・。そして調子こいてウェスチングハウスを買収しなければ・・・と名門が上場廃止して、名前が色んなところで無くなっているのをみて強く感じるところでもあります。


●東芝

→ 原発問題・不正会計

→ 財務危機

→ 一番手放したくない半導体事業を売却

●キオクシア

→ 東芝から独立

→ メモリ不況で苦しむ

→ AI時代到来

→ NAND/SSDが再評価

→ 企業価値が爆発的に上昇

これは日本企業の歴史の中でもかなり象徴的で、「優れた技術を持っていること」と「その技術の価値が最大化するタイミングまで保有できること」は別問題だという非常に興味深い例だと思います。

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