2011年11月16日水曜日

需要と利益の先食い

液晶テレビとか、ハイブリッドカーとかもそうですけど、需要の先食いの反動って大きいですよね。目先の利益は増えるものの翌期は、その分、反動が思いっきりきますからね。

私があと最近思うのは、音楽や映画の世界のことです。私が学生の頃、結構WIN MXとかWinnyとか、個人情報や機密情報の流出とかで話題になることが多かったものの、やっぱりポイントは、マクロで見た経済を考えると、CDやDVDなんかの著作権のあるものがタタで手に入ることにあったんですよね。これって、貧乏な学生にとっては今まで一枚3000円でアルバムを買って、殆どがオマケの曲にも関わらず、無駄な費用を支払わされていたんですよね。ただ、そのかわり製造元や製作者は本来受け取るべき利益が受け取れなくなって、それが製作コストの削減に繋がったわけです。

あと、レンタルビデオ屋でも、はじめは著作権云々の問題があったものの、結局は、ビデオ屋があったお陰で潜在需要も発掘してくれ、製作者はそれなりに儲かったんですよね。でも、ファイル共有ソフトは、何が問題かというと対価が発生しないことにあるんですよね。そこからは、何も生まないどころか、むしろ違法行為によって、機会の損失が生まれていたわけです。

10年前、周りでは、結構、学校や仕事に行っている間に、ダウンロードしていて、帰ってきて見たり聞いたりという人は結構周りにいて、「むちゃくちゃお金が浮くわ」と言っていたのを今でも思いだすんですけど、周りまわって製作者にお金が入らなくなり、そして、売れなくなったからコストをかけられなくなったと言う悪循環になったと。

ホント、需要と利益の先食いをしちゃって、周りまわって自分たちの首を絞めてしまっているんですよね。ホント世の中上手くできているなーって思いますよ。

これが一転、日本の労働幸造の転換に当てはめると、派遣労働者、契約社員を都合のいいときに、都合のいいだけ使って、都合が悪くなると切り捨てるということをやって、賃金を抑えたものですから、目先の利益はあがっても、消費者である労働者の賃金が減れば、中長期では売上は減りますし、酷い扱いをする会社の製品なんか買いたいという気持ちは起こるはずありません。ホント、基礎研究もそうなんですけど、1年や2年で結果なんかでるものなんてホント少ないんですよね。20年、30年の長期の視点で見てくれたからこそ、日本って強かったんですよね。

私は思うんですけど、日本の強さって、底辺の層の厚みにあったと思うんです。東大阪、浜松、東京の大田区、長野県の諏訪地区などにある中小企業の集積地は、技術の塊みたいなもんですからね。大企業って、1軍、2軍、3軍ぐらいまでありますけど、中小企業は、みんな1軍、そして背水の陣で常に戦っている会社が殆どですので、やっぱり底力が違うんですよね。

思うに、基礎というか、底辺がしっかりしていないところは、ホント安定感に欠けて、ちょっとしたことですぐに傾いちゃうと思うんです。前にも書いたんですけど、自動車産業って、工業力の結晶みたいなもんで、3万点前後の部品の寄せ集めな訳ですから、単品で見ても、総合で見てもいいものができないといかんわけですから。一個一個の誤差が1ミリでも、3万点で誤差がそれだけあったら、最大で3メーターもの誤差がでるわけですから。まぁプラマイがあるので、そこまではありませんが、5万キロ、10万キロで工作精度の誤差で、ガタが来るのが善く解ります。トヨタなんかは10万キロのっても平気ですけど、ホンダなんか5万キロぐらいでもうガタがきますからね。

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